ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



どうしよう。

二人きりの部屋の中で、心臓がドキン、ドキン、と音を立てる。


「……布団に入るのが嫌なら、手だけ繋いでて?」


ずっと立ったままの私を見て、犬飼くんは少し寂しそうな顔をする。

手ぐらいなら、いいかな……。
そう思って近づくと、犬飼くんは凄く嬉しそうに笑って布団から手を出した。


「手。繋ぐだけでいいから」

「う、うん……」


犬飼くんの手、凄く熱い……やっぱりまだ熱が高いんだ。

元気そうに笑っていたのは、ただの強がり……?

私と手を繋いだ彼は、ふっと笑ったあとに目を閉じた。

その呼吸は、凄く苦しそう。


「大丈夫……?」


問うけれど、返事はない。

みんなの前では笑顔を見せるけど、本当は苦しい。
だけど絶対に苦しいところは見せないし、感じさせない。

青山や村雨くんが言うように、犬飼くんは溜め込む人間なんだ……。


どうしてこんなになるまで言ってくれないのかな?
ツラいなら「ツラい」と、苦しいなら「苦しい」と言ってもらいたいよ……。


「……我慢しないで、私にちゃんと話して欲しい」


無理して笑うことなんてない。
私、そんな犬飼くんを見てるなんてイヤ。


「犬飼く……わっ!?」


名前を呼ぼうとしたその時。

布団の中に、体が引きずり込まれた。