……犬飼くんも、小百合ちゃんの気持ちを知ってるんだ。
私が一目見ただけでわかるくらいだから、当然と言えば当然だよね。
「あの二人が付き合っちゃえば、俺と啓介の一騎打ちだね」
そんなことを言ったあと、犬飼くんは「もう少し寝るね」と布団に潜り込んだ。
……シーンとする室内で、犬飼くんの眠るベッドを見つめる。
犬飼くんと村雨くんの、一騎打ち。
それを思いながら、視線を村雨くんへと移すと……村雨くんは、私だけを真っ直ぐに見つめていた。
……なんだろう、胸が、凄くドキドキする。
「あ、あの……私、洗い物しちゃうねっ」
「いや、僕がするよ」
「だ、大丈夫!! 私がっ……」
「いいよ、僕がする」
と、お互いに片付けを始め……手と手が触れて、お互いの動きが止まる。
そしてまたそのまま見つめ合って、ドキドキが増していく。
村雨くんのことをいつも以上に意識しちゃって、上手く話せない……。
「二人とも、見つめすぎ」
「へっ……」
ベッドの中に居る犬飼くんが、笑いを堪えるようにして私たちを見ていた。
それに気付いた瞬間、顔が一気に赤くなって、恥ずかしくて死んじゃいそう。
穴があったら入りたい。って、こういう時に使うのかも……。
「…わ、私がやるねっ」
それだけを言って、キッチンに逃げ込む。
はぁ……ドキドキが、ヤバい……。



