「さゆー、今日はもう帰りな? 俺は大丈夫だから、みんなにもそう言っといて?」
「……ほんとに大丈夫? お兄ちゃん、いつも無理してるから……」
「大丈夫だって。 ご飯、ありがとね」
「……うん」
犬飼くんの優しい笑顔に応えるように小百合ちゃんは笑って、それから私を見た。
「奈央さん、お兄ちゃんが無理しないように、見張っててください」
「もちろん。 絶対無理はさせないよ」
「よろしくお願いします!!」
何度も何度も頭を下げ、小百合ちゃんは部屋を出て行った。
「小百合のこと、送ってくるよ」
お茶を飲み干した青山が、スッと立ち上がってから私に笑いかける。
「良太郎のこと、頼んだぞ」
「あ、うんっ」
「じゃあな」
ひらひらと手を振りながら、青山もあっという間に部屋を出ていった。
「渉、さゆと付き合っちゃえばいいのにね」
ベッドに座った犬飼くんが、けらけらと笑う。
「さゆは渉のことが好きで、渉だってさゆを可愛がってる。 お似合いだと思うんだけどなぁ」



