ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



「あ……ごめんなさい、こんな話をする為に二人きりになったわけじゃなかったのに。
みんな、私の大切なお兄ちゃんだから……だからみんなが恋してる奈央さんに会って話してみたいって思ってたんです」


……小百合ちゃんは、みんなのことが大好きなんだね。

そして青山に対しては、ずっとずっと前から恋愛感情を抱いていたんだ。


「……小百合ちゃんは、私と違って自分の気持ちがハッキリしてるね」

「え? あ、うーん……奈央さんとは立場が違うからですよ。
私の場合、一人は実の兄ですし……啓介さんもザ・兄!!って感じ。
渉さんも私のことを妹みたいに思ってるけど……なんかこう、私にとっての渉さんは特別で……他の人とは違うんです」


……「特別」で「違う」って気付けることが凄いと思う。

私もみんなのことが大切だけど……でも、「好き」って気持ちが正直よくわからない。


「よし、完成!! みんなでご飯にしましょ!!」

「あっ……ごめん、結局私、全然何もしなかった……」

「いえいえ、お話出来ただけで嬉しいです!! あ、使えそうな食器お願いします!!」


出来上がった雑炊を持って部屋に行く小百合ちゃん。
私は言われた通り、食器を適当に取り出す。

……やっぱり小百合ちゃんの方が私より大人っぽいなぁ。

凄く可愛いし、料理も上手だし、精神的にもきっと私よりも大人。

……全てにおいて勝ち目がない感じ。

小百合ちゃんは私の何十倍も何百倍も優れてる子なんだ。


それを思ったら、胸が痛くなってきた。

私は、いいところなんて何もない……。