自分の気持ちはよくわからないけれど、小百合ちゃんの気持ちにはすぐ気が付いた。
小百合ちゃんは、青山に恋してるんだ……。
「渉は気付いてないけど、さゆちゃんは渉のことが好きなんだよ。
で、渉が結城さんを好きなことを、さゆちゃんは知ってる」
村雨くんがコソッと教えてくれた。
小百合ちゃんは青山が好きで、青山が私を好きなのを、知っている……。
そんな状況ってことは……私と小百合ちゃんは、会わない方がよかったんじゃ……。
「奈央さん!!」
「は、はい!! 何でしょう!?」
「一緒にお料理しませんか? お兄ちゃんが早く元気になるように、栄養のあるものを作りましょ!!」
え、それってつまり……小百合ちゃんと二人きりでキッチンに立つってこと……!?
どうしよう、何を話せばいいかなっ……。
ていうか私、料理ってあんまり出来ないんだけど……。
「さ、行きましょ!!」
「う、うん……」
導かれるまま、小百合ちゃんとキッチンへ……。
うわぁ、狭い。 二人で並んで立つのは無理かも……。
部屋とキッチンを繋ぐドアを閉めて、犬飼くんたちの様子がわからない状態で料理をスタートする。



