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それからの私と青山は、言葉少なく犬飼くんを見守っていた。
その数分後にドラッグストアから村雨くんが戻ってきて、犬飼くんのおでこに冷却シートを貼り付ける。
「だいぶ落ち着いてきたみたい」という言葉の通り、犬飼くんの呼吸は落ち着き、苦しそうな表情も幾分和らいだ気がした。
そして、3人でぼんやりと犬飼くんを見て過ごしていた時……――、
「お兄ちゃん!!」
と叫ぶ声と共に、女の子が部屋に飛び込んできた。
この子が、犬飼くんの妹さん。
目元が犬飼くんそっくりで、すっごく可愛くてスタイルも抜群。
私の方が年上だけど、私よりもしっかりしてる感じがする。
その妹さんの声に反応した犬飼くんが、ゆっくりと目を開けて辺りを見回した。
「……さゆ? それに、啓介と渉も……なんでみんな居るの?」
「お前が倒れたからだろうが。 しかも、結城に覆い被さって」
「あー……うん、思い出した。 俺の水族館デート……」
「いいから寝てろって。 水族館なんていつでも行けるだろ?」
「……うぃ」
青山と会話する犬飼くんは、やっぱりまだツラそうで……深く深く息を吐いたあと、弱々しく私に笑いかけた。
「迷惑かけて、ごめんね」
消えてしまいそうな小さな声のあと、犬飼くんはまた深い深い眠りについた。



