「良太郎はいつも無理をするから、時々寝込むことがあるんだよ」
「あー……そういやこいつ、そうだったな……。
前に寝込んだのは1年の時だったから、すっかり忘れてた」
「こうならないように見てたつもりだったけど、それでもやっぱり倒れちゃったね」
「……だな」
二人の会話をぼんやりと聞きながら、犬飼くんに近づいて手を握る。
熱くて苦しそうで、ツラそうなその姿に胸が苦しくなる。
すぐ隣に居たのに、私は全然、犬飼くんの状態に気付かなかった。
「いつもの犬飼くん」だと思って話していたのに、まさかこんなことになるなんて……。
「結城さん。 良太郎のこと、少しお願いしてもいいかな?
僕と渉は、良太郎のお姉さんたちに電話してくるから」
「あっ……うん、わかった」
「大丈夫だよ。 このまま寝かせておけば、すぐに良くなるから」
「……うん」
村雨くんの「大丈夫」という言葉に励まされながら、犬飼くんの手を更に強く握り締める。



