ふわり、シャンプーの香りが舞う。
「水族館はやめて、俺とここに居る?」
「なっ……」
すぐ目の前に居る犬飼くんの、真っ直ぐ過ぎるその瞳に言葉をなくす。
「奈央ちゃんの全てが知りたいし、俺の全てを見てもらいたい」
「い、犬飼くんっ……」
首筋を這う指が、段々と下へと移っていく。
首から鎖骨へ……そして、胸へ……。
「奈央ちゃん」
「あっ……」
そのまま、トン……と、ベッドに倒される。
「……ごめん。 マジ、限界……」
私の上に覆い被さった犬飼くんは、ハァハァと苦しそうに息をして……そのまま動かなくなってしまった。
「犬飼、くん……?」
何か、様子が変……。
吐き出された息は熱くて苦しそうで、その体もまた、尋常じゃない熱さ。
「犬飼くん……!!」
呼びかけても返事はなくて、私の体に覆い被さったまま、動くこともない。
どうしようっ……犬飼くん、倒れちゃったんだよね!?
でも私、犬飼くんの体の下で、動けないっ……。
普段意識しないけど、男の子ってこんなにおっきな体なんだ……。
全然、びくともしないよ……。
「誰かっ……」
誰かお願い、助けて……!!
涙を必死に我慢しながら、そう願った時……――、



