ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



私の家から歩いて15分くらいで、走れば確かに5分で着く。

小中学の学区は違うから全然知らなかったけど、犬飼くんのお家は本当に近かったみたい。


「どうぞー」

「あ、お邪魔しますっ……!!」

「緊張しなくていいよ、俺たちしか居ないから。
ていうか、普段から俺しか居ないけど」

「……え?」


普段から犬飼くんしか居ない、って……。


「……犬飼くんって、一人暮らしをしてるの?」

「うん。 親が外国に居るから、1年の時から仕方なくね。
俺、日本の高校に入りたかったから残ったんだ」

「そうなんだ……」


全然知らなかった。
1年の時から一人暮らしだなんて、私なら絶対無理だし、一人暮らししてる自分のことすら想像出来ない……。


「何もないけど、どうぞ」


廊下を抜けた先にあるドアを開け、部屋に入る。


「わぁ……」


綺麗に片付けられた部屋には小さなテーブルとベッドしかなくて、部屋の中にかけられた物干し竿には制服や洗濯物が干されたままになっている。


「一人暮らしだからかなり自由な生活を送ってるよ。
この前、夜中に奈央ちゃん家に行った時のようにね」

「なるほどー……」

「あ、休みの日は啓介や青山が泊まりに来るから、食器や布団なんかは余計にあるんだ。
男3人がお茶を飲みながらまったり話してる絵っていうのは、かなり笑える」

「あはは、でも楽しそうでいいなぁ」


寂しくないのかな?と思ったけど、結構楽しそう。 ていうか、自由に過ごせる3人が羨ましい。


「3人は本当に仲が良いんだね」

「うん、いつでもどんな時でも、俺たちは一緒だった。
啓介はクールで自分のことはなんにも言わない奴で、渉……あぁ、青山ね? あいつは見ての通りの一直線馬鹿。 で、俺は二人の間って感じの性格、かな? 自分のことはよくわかんないけど。

でも、まったく違う俺たちだけど、気付いたらいつも一緒に居て笑って過ごしてる。 だから、いつも楽しいよ」