そうやって話してるうちに、私の家に到着する。
「今日はありがとね」
「いや、俺の趣味に付き合わせただけだから、俺の方こそありがとな」
「うん」
繋いでた手と手が離れ、青山は3歩後ろに下がった。
「じゃ、またな」
「うん、またね」
手を振り、また1歩、2歩と離れていく。
その背中が見えなくなるまで見送るつもりだったけど……。
「風邪引くからもう入れよ」
と青山は振り返り、立ち止まる。
「青山も、風邪引かないようにね」
「大丈夫、俺って丈夫だから」
「……馬鹿は風邪引かないってやつ?」
「うるせー。 放っとけ」
いつもみたいな会話で、いつも以上に笑い合う。
青山との時間は、やっぱり凄く楽しい。
その時間が名残惜しくて、なかなか家に入れないでいたけど……いつまでもここに居るわけにはいかない。
「……近所迷惑だから、そろそろ家に入れよ?」
「……うん」
「じゃあな」
「……うん、じゃあね」
またひらひらと手を振った青山に私も手を振り返し、歩き出したのを確認したあと、私も背を向ける。
「……また一緒に過ごせたらいいね」
誰にも聞こえないような小さな声で言い、ゆっくりと玄関を開けて家へと入る。
3連休の1日目、青山との時間が今ここで終了した。



