………
……
…
教室に入ると、女の子たちは犬飼くんのことを話していた。
「下駄箱に靴はあったよね」
「うん。いつもならもうとっくに来てる時間だよ」
「どこに居るんだろ?」
犬飼くんが暗室に居ることをみんなは知らないから、色々な憶測が立っている。
それをぼんやりと聞いていた時、トントンと肩を叩かれた。
「ねぇ結城さん、ちょっと聞いてもいい?」
「は? あっ……な、何?」
そこに居たのは、以前ファミレスで「犬飼くんに近づかないで」と言ってきた子たち……。
「青山の靴もあったけど、まだ教室には来てないよね。
もしかして青山は犬飼くんと一緒なの? 何か知らない?」
う……鋭い。
私、この子たち苦手なんだよね……。
「私は何も知らないよ。 役に立てなくてごめんね」
とりあえず、そう言っといた方がいいよね。
ポロッと何か言っちゃったら大変だし……。
「ふぅん……まぁいいけど。
あ、ねぇ結城さんって、青山と付き合ってるんだよね?
じゃあさ、隣のクラスの……なんだっけ、眼鏡の優等生」
「……村雨くん?」
「そうそう村雨くん!! あの人とはどういう関係なの? なんか、しょっちゅう3人で居るよね」
……確かに私たちは、3人で話してることが多い。
でも、なんで急にそんなことを?
「村雨くんとは……ただの友達だよ」
本当はそれだけじゃないけど……でも、彼女たちにはそれ以上のことは話せない。
「なんかさ、結城さんと彼って、お似合いだよね」
「へっ……?」
「青山と別れてさぁ、彼と付き合ったらどう?」
な、なんなの、この会話……。
て言うかこの人たち、何言ってんの……?



