犬太郎と出会った時のことや、同じ学校だと知った時のこと、メールのやり取りや、学園祭の日のこと、犬太郎の正体……色々なことを青山に話した。
「啓介は奈央ちゃんの意思に従う。 俺もそう」
「……んなもん、俺だってそうだよ」
全部を聞いた時、青山は頭をガシガシと掻いて息を吐いた。
「結城、お前は教室に行け」
「え? でも……」
「もうすぐ予鈴鳴っちまうから行けって。 俺は、もう少しコイツと話すことがある」
私と犬太郎の話は終わったはずなのに、青山も犬飼くんも動こうとしない。
「奈央ちゃん、大丈夫だよ。 別に俺たち、殴り合ったりするわけじゃないから」
「……うん」
「2時間目くらいまでには行くよ」
二人の優しい笑顔に見送られ、私は一人で暗室を出た。



