ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



好き。

村雨くんが、私を……?


「だけど、僕がそう言ったからって何になる?
結城さんに迷惑がかかるだけだし、それに……」


視線が、どこか遠くに移る。


「……それに、渉や良太郎が居る。
だから僕は、“犬太郎”として遠くから行方を見守るつもりだったんだ」


青山や犬飼くんと一緒に居る私を、村雨くんは「犬太郎」として遠くから……。




「……でも僕はユウが好きで、そして、結城さんに恋をした。
好きだから、もっと近くに寄りたいって思ってしまったんだ」


「好き」だから、村雨くんは私の手を握ったり、抱き締めたりを……。

なのに私はそれに気付かなくて……でも彼は、私の想いや周りの人の気持ち、全部知っていたから……だから自分の想いは何も言えなくて、一人で苦しんでいた……。


「あなたの気持ちが1番で、あなたの幸せが1番。 そう言ったのを覚えてる?」

「あ……」

「だから僕は、あなたが決めたことに従います」


ゆっくりと立ち上がった村雨くんは、ポケットから暗室の鍵を出して犬飼くんに渡した。


「今まで、黙っててごめん」


その時見せた笑顔は、凄く凄く寂しそうだった。