ネットだけの関係じゃなく、それ以上になりたいと犬太郎は言っていた。
「……ユウが結城さんじゃなければ、僕はユウに会って、自分の気持ち全てを言うつもりだった」
犬太郎の気持ちを、ユウに……。
「今、ここで言いなよ」
犬飼くんの凛とした声が響く。
「啓介の気持ち、犬太郎の気持ち、全部話しなよ。
目の前に居るのはユウだ。 犬太郎とずっとやり取りしてたユウなんだよ。
奈央ちゃんがユウだった、だから何? そんなの関係ないじゃん。
言いたいことがあるなら、隠さずちゃんと言えばいいじゃん」
「……良太郎は、何もわかってない」
「うん、俺にはわからない。
なんで啓介が想いを伝えずに黙ってるのか、俺にはわからない」
「僕はっ…――!!」
いつも冷静な村雨くんが、声を荒らげた。
どんなことにも焦ることなく対応が出来ると思っていた人が、今は、焦りの表情……。
だけどすぐ、いつものように……ううん、いつも以上に冷静な瞳が私を見つめる。
「……僕は、結城さんが好きだよ」



