「…」 何と、言った?と私は耳を疑いました。 しかし、耳に残る言葉は確かにそう言っていたのです。 貴方は穏やかな目をしたままで、私を見ておられました。 その目の暖かさが、酷く残酷なものに見えて、私はウと声を洩らして撓垂れ掛かりました。 そうすると、甘い香が濃く鼻に付くものですから、耐え切れずに目からはホロと雫が落ちたのです。 翌朝、彼は普段と変わらぬ態度で学校へ行き、私はそのまま布団の中で、彼の残り香を探し、見付けては幸せな心地に浸る事を繰り返しておりました。