あたしと彼と白いキャンバス

転校の事は誰にも言っていなかった。

篠宮先輩にも。
志乃にも。
新太郎先輩にも。


言わなきゃいけないと思いつつ、話し出すきっかけが見つからなくて。



「…俺たちに別れの挨拶もさせないつもりだったのか?」



そう言われて、気付いた。


さよなら、と言いたくない。
さよなら、と言われたくない。

だからあたしはタイミングを見失ったふりをしていたんだ。

現実を否定しようとする子供みたいに。


「……」


無様な自分に気づいてしまうと途端に空気を重く感じてしまって、

沈黙がその場を支配する。