あたしと彼と白いキャンバス

美術室を出ると、廊下には誰もいなかった。

外から聞こえてくる運動部の掛け声が壁に反射して響いている。


篠宮先輩は表情を強張らせていた。

そんな様子を見せられては、嫌でも緊張してしまう。


何の話をされるのか。

少し不安。



そして、目の前の唇が躊躇いがちに動きだす。


「――職員室で聞いたんだけど」


真っ直ぐに突き刺さる黒い瞳を、あたしは正面で受けていた。


「転校するって、本当なのか?」


夕日のオレンジに照らされて、
眉間に刻まれたシワまで美しい。