あたしと彼と白いキャンバス

準備室の開かれた扉からは、美術室が見えた。

小さな明かりが床に落ちている。

たぶん、懐中電灯。

その横で、
先輩が男に掴み掛かっていた。


「何だよ!」


先輩のものよりも低い、驚きと怒りが混ざった声があたしの鼓膜を叩いて。

心臓が早鐘を打つ。


何が起こっているのか。

脳味噌が理解したがらない。



――――怖い。


「お前、何しようとしてたんだ!」

「うるせえ!」


身長の高い先輩が男を引き倒すと、男は床に頭を打って表情を歪めた。

男の足に当たった懐中電灯がくるくると回る。


その光に照らされたそれが、キラリと輝いてあたしの目に飛び込んだ。

男の手に握られた、それ。