朝起きて、顔を洗う。

鏡の前のあたしはいつも以上の仏頂面だった。





「おはよう、小早川さん」


朝っぱらから見たくもない爽やかな笑顔が、校門であたしを出迎える。

ローテンションのあたしに構わず、先輩は機嫌よさげだ。


「おはようございます」

「いつもこんな時間に来てるんだ? 余裕だね」


先輩はちらりと腕時計を確認して言った。

嫌味か。

走らなくても遅刻にならないギリギリの時間だけど、あたしと同じく余裕のある人間は結構いるものだ。


通り過ぎていった女子の何人かがこちらをチラチラと振り返る。

あれは先輩を見ているんだ。