あたしと彼と白いキャンバス

久しぶりにあそこのケーキ食べようかな。

そう思って身体の方向を変えたとき、だった。



「結」



馴染みのある声とともにあたしの肩に手が置かれる。

重い感触。


振り返ると、お父さんがいた。

スーツの上に羽織った灰色のコートの裾がはためいている。


仕事帰りだ。


「エリカの様子を見に来たのか?」

「うん。今から帰るけど」

「そうか」


お父さんは軽く周囲を見回して、喫茶店を指差す。


「コーヒーでも飲むか」