あたしと彼と白いキャンバス

「君の実家はこの近く?」

「いえ、実家に行くにはまた電車に乗らないと駄目なんですけど。総合病院はこの近くです」

「そう」



ふたり並んで道を歩く。

病院が近づいてくる。


カラスが電線からあたしを睨み、
黒猫が前を横切って、

心臓がぎゅうぎゅうと縮こまっていく。


エリカの容態をはやく知りたいのに、でも知るのが怖い。


大きな白い建物が目の前に迫り、逃げ出したい気分になった。

足が竦む。


どうしよう。
どうしよう。




躊躇うあたしの背中を、
先輩の手がぽんっと押し出す。