あたしと彼と白いキャンバス

「だから家を出たんですか?」

「ああ…そうだよ」


描けなくなったことで自己評価を上げる術を失ったから、

先輩は逃げたんだ。


劣等感を生む場所から。



「先輩…」



心のない絵を描いてはいけないとか、
家出なんてしちゃ駄目だとか、

そんなことを言うのは簡単だ。

そしてそれを言うべきだとも思う。



でも、

そんなことは先輩もわかってるんだ。


だからこそ苦しんでいる。





窓の外ではいつの間にか雨が降っていた。