あたしと彼と白いキャンバス

「描きたいなら、描けばいいじゃないですか」


それだけのことのはず。

それなのに先輩は苦しそうに眉根を寄せて俯いた。


「描きたい絵を描いても、評価されなければ意味がない」

「な…っ」


それは違うと叫びそうになった。

けど、直後に息が詰まる。




――違うと言えるのか?



高い評価を受ける先輩の絵に醜い嫉妬心を抱いていた、このあたしが。


結局言葉は見つからずに、

先輩の瞳が少しずつ虚ろになっていくのをただ見つめる。


「評価される絵を描けなければ、俺にはなんの価値もない。

…少なくとも、俺の家族はみんなそう思っている」