あたしと彼と白いキャンバス

「君の絵はいつも生々しい。見れば嫌でも伝わってくるんだ、君の感情が。

悔しさ。
悲しさ。
怒り。
戸惑い。
不安。
恐怖。
期待。
希望。

全部わかるんだ」



先輩の長い指が厚く塗られた絵の具の凹凸をなぞる。



「俺にはそんな絵は描けない。だから君の絵が嫌いだった。毎日毎日美術室にやって来る君を忌々しいと思っていた。

君の絵を見ると飲み込まれそうになる。羨ましくなる。腹が立つ」



唇が小刻みに震えていた。


抑えようとしても抑えきれないものが先輩の内側から溢れ出している。



「俺も自分の心に正直な絵を描きたいと、そう思ってしまう…」