再びベッドに潜り込んだあたしの脳裏に、篠宮千里の絵が浮かぶ。


あたしはあの絵が嫌いだ。

あの男が嫌いだ。



「むかつく…」


綺麗な顔と家柄と金と人気と、才能。


そのすべてが嫌い。

大っ嫌い。


生まれつきなんでも持っているなんて、そんなのずるいじゃないか。




先輩を男として見れば、彼がモテるのもわかる気はする。


けれど、同じ美術部員として見れば。

同じフィールドに立って見れば。


あれほど腹の立つ人間はそういない。