数秒か数分か。


情けなく頭を下げていた俺は、相手に何の反応も無いことにやっと気付いて恐る恐る頭を上げた。


仁王立ちで立つ彼女を俺は想像したが、・・・・予想外にも人通りのない狭い道には俺一人しかいなかった。


一人で大声で告白して頭下げるとか恥ずかしっ!!


思わず顔を覆ってブハッと噴き出すと、


【アンタ、頭大丈夫?】


と頭の中に声が響いた。


男なのか女なのか性別がハッキリしないような声はかなり怪訝そうで。


俺は顔を覆っていた手を外して辺りを見回す・・・・・が、さっきも言った通り人影はない。


「聞き間違い・・・・?」


また空耳か。
俺もだいぶ重症だな


とか思ってたら


【いやいや、コッチだから。見てる位置がそもそも違うんだよ。】


と怒られた。


可愛い声だな。とか検討ハズレな事を考えつつ視線を巡らせるが、声の主らしき人物はいない。


強いて言えば足元に真っ黒なウサギが一匹。


あ、ウサギは一羽か。


「ウサギ?」


【ウサギで悪いか】


ポロリと零れた呟きに不機嫌そうな返事が返ってきて俺は目を見開いた。


ヤバイ、俺、末期かもしれない


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