ある秋の日のコト。


いつものようにいつもの如く携帯をいじりながら歩いてた俺、鏡花 水月はふと空を見上げた。


何故って、声が聞こえた気がしたからだ。


満月と彩る星以外が見えない真っ暗な空をしばらく見つめて、空耳かwとまた歩き出した俺はカコンっと地面に転がっていた空き缶を蹴飛ばした。


2年付き合った彼女に『顔はイケメンで超タイプだったけど、飽きちゃったわ。別れましょ』と言われてフラれたのが今さっきのこと。


ファミレスでの出来事をふと思い出してしまい、俺は一人笑って見せる。


「あんな女こっちから願い下げだぜ」


とか呟いてみるが、何故だかポロリと涙が零れそうになった。


あ、辛いぞ。


とか傷心に浸っていたら、


こう、


バッコーンッ!!


と後頭部を襲われた。


あまりの勢いのよさに前に転びかけたが、そこはそれ、素晴らしいバランス力を駆使して体勢を立て直した俺はさっきとは違う意味で滲んできた涙で潤んだ目を慌てて後方に向けた。


別れ際に


『ハッ・・・。俺、お前のコト別に好きじゃ無かったしちょうど良いわ。言ってくれてサンキューな。これでやっと自由だよ』


とか強がりを言ったのがいけなかったのか!?


「ホントはマジで好きでしたぁっ!」


逃げの一手を打って、頭を下げながら振り向く。


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