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次の日、学校に行くと下駄箱にあいつが座っていた。

あたしに気付いて、ぱっと立ち上がる。


背中にはサックス。


やっぱり一心同体らしい。




あたしは彼を見ながら、ふいに呟いた。


「…自由に音楽、出来る時代になったよ」
「え?」


すっとんきょうな声で聞き返すあいつ。

あたしはふうっと息をついて、手を差し出した。



「チケット。ライブあるんでしょ?廣輝の音楽、聞きに行ってあげる」



そう言うあたしに、廣輝は安心した笑顔を見せた。


「チケットなんていいよ。真緒特別のVIP席用意しとくから」
「ほんと?」



あたし達は笑いながら手をとりあった。


夏の日差しが、ゆるやかにあたしの背中を押す。













…空は晴天。


多分ジャズが、よく響く。




















【fin,】