息子が結婚式を迎えた朝でした。

キッチンに立つ私の側へ来て、

『生んでくれてありがとう、母さん』

と、言ってくれました。

高校生の頃から彼は私のことを、

『紗那さん』と呼んでいました。

この日の『母さん』の一言にどれほどの思いを込めてくれたのか…

キッチンでこっそり泣きました。

佳矢と敦志が守ってくれた私の命、

私と敦志が大切に大切に守ってきた透矢の命。

苦しんで悩んで泣いた日々は、

この日に全て終わった気がしています。