王子と姫が出会いました。

できることなら波風立てないでもらいたい。



あたしは王子君とゆっくり愛を育んで行きたいのに。



「王子はあたしの王子様なんだよ」

「あたしのです!!」

「昔ね、池に落ちたの助けてくれたの。その時から王子と結婚したいって思ってる」

「王子君に手を出したらあたしがナツカさんを池に落とします」

「あははっ!!天野さんってホント面白いっ!!」



ムッ…。



笑われてさらにキライになった…。



王子君はあたしの王子様なのに。



結婚とか勝手に考えてほしくないですね。



「王子の両親が事故で亡くなった時、あたしはなにもしてあげられなかった…」

「…………」

「でも王子のことはあたしが支えてあげたいの。王子に恋愛感情なんかないってわかってるけど、あたしは昔から王子が好きだから」



ナツカさんの言葉はあたしには重かった。



譲りたくなんてない。



だけど、なんだか石みたいに重く感じてしまった…。