王子と姫が出会いました。

ビニール傘を2本買って外へ出た。



止みそうにない雨にがっかりする。



せっかくデートに誘ってもらえたのに、これじゃあどこにも行けない…。



「送るから」

「あっ…はい…」



手も繋がず、無言で隣を歩く。



もう帰っちゃうの?



そんな言葉は当たり前のように出てこない。



ザーッと傘に落ちる雨が本当に憎かった。



「じゃあまた明日」

「あの…」



まだ帰らないで…。



もう少し一緒にいたい…。



だけどなんて言えばいいのかわからず、右手が無意識に王子君を引き止めた。



目の前の湿った制服の裾を掴み、なにも言わないあたし…。



なにか言わなきゃいけないのに…なんて言えばいいかわからない…。



「…………少し乾かしてから帰っていい?」



やっぱりこの人はあたしの心を読むのが得意だ…。



コクコクと頷くと、ニコッと笑ってくれた。



「やった!!姫の部屋~!!」

「キレイなものじゃないですよ?」

「いいんだ。今日は雨に感謝しまくりだ」



あたしは王子君に感謝です…。