そんなこともわかった上で、しかも俺が御曹司的な扱いで…。



カフェでバイトしてる御曹司なんていねぇって。



叔父さんはマジで甘やかしてくれないから。



「初めまして、カメラマンの内藤です」

「城野です」

「やっと実現して嬉しいよ。よろしくね」

「こちらこそ」



俺はマジでモデルじゃないから、名前なんて城野王子なわけで…。



でも一応本名は隠した方がいいとかって言われて…。



親父の名前を名乗ることになった。



叔父さんのブランド、A/Dのモデル、『シキ』として仕事をすることになった。



今まで名前は出してなかったし、そんな芸名みたいなものが俺につくとは思ってなかったけど…。



でもこの会社の設立者である親父の名前を名乗らせてもらえるのは光栄だと心から思った。



「こちらは姫ちゃんだったね?」

「あっ、はい!!天野姫です!!」

「初めてだって社長が言ってたけど、名前はどうする?」

「考えてないので…。王子君、どうしよう…」




ここにきて初めて姫が世間に顔出しするんだと実感した。




なんか出てきちゃうよね、独占欲っての。




姫をそのまま姫で出したくなくなってきた。