その日の夜は初めて王子君を抱きしめて眠った。



両親からの嵐のような不在着信は無視。



初めての無断外泊。



初めての反抗。



怒るなら怒ればいい…。



両親を困らせるのなんて今だけだから…。



あたしなりの…精一杯の攻撃だよ。



目が覚めた時は王子君にバッチリ見られてた。



「親にメールしなかったのかよ」

「はい。娘は少しばかりグレたんです」

「家に帰った方がいい。ワガママ言ってごめんな」



傷付いた王子君の心は癒えるだろうか…。



王子君は信じてもらえなかったことが悔しかったんだ…。



「王子君はお休みですね」

「謹慎だっけ…。これじゃあバイトも行けねぇしな…」

「無断外泊ついでに、学校もサボります。うんと困らせてやりたいんで、かくまってくださいね?」

「姫ってホント、頑固だよな…」

「はい!!朝ごはん作ります!!」



あたしがいなくなったら両親がなにを思うのか…。



それを知りたかっただけなのかもしれない。