さらさらな髪の毛を耳にかけて、昨日見ていた写真集を今日も読んでいる。
飽きないのか?と疑問に思うが、聞かないでおこうとした。
そんな陽菜を見つめて、心の中で朝の挨拶をする。
《おはよう》
返事は当たり前のように無いけれど、これでいいんだ。
自分にブレーキを掛ける。
もし陽菜に挨拶をしたら、周りにいる人たちが驚いて、千夏なんか嫉妬に狂いそうになるからやめた。
一歩、一歩。
近づいていく。
自分の席に─…。
『あ!嵐、おはようございます!』
自分の席に座ると、写真集から目を離し、俺を見ながら隣の陽菜が話しかけてきた。
また、動く…。
『…おう』
話しかけないで。
折角ブレーキを掛けたばかりなのに─…。
『はい!これ昨日のお礼!』
突然、俺の視界に入った赤いもの。
それは陽菜の手の中に収められていて…
理解に苦しむものだった。
『は?なにこれ?』
それは、赤い色の…。
小さな、小さな…
ミニカー─…。


