どこまでも、蒼く



『それが!いい人いなくてさー』


相変わらず笑顔のまま答えるすばるから飛び出した言葉は、多いに俺の想像を上回る言葉で…
それを聞いた俺の肩ががっくりと落ちたのは言うまでもないだろう。


『は…?』


『運命の出逢いはなかったなー』


なんだよそれ。
期待外れじゃねぇか。

俺は感情を態度に表すかのように、落ちていた空き缶を思い切り蹴った。その空き缶は形を変えて、勢いよく転がっていく。


『すげぇ期待外れ』


すばるに向かって溜め息を零すと、すばるは白い歯を見せて、また笑う。

この笑顔に悪気はないから、俺は怒ったり出来ないんだ。


いつものように馨と合流し、昨日のことを尋ねてみる。


『馨は昨日どうだった?後輩と』


馨は小説から視線を変えずに、耳だけは俺の質問に傾けて、答えてくれた。


『…断った。俺は幸せに出来ねぇし』