そんなことを知らないまま、この恋は加速をつける。
時間を味方にして、恋心を味方にして。
だけど時間も恋心も、いつか俺を裏切ってしまうんだ。
…夜のあの静寂は、朝の訪れと共に消えていく。朝の日差しが眩しくて、俺は目を細めた。
今日も秋晴れ。
なぜかって?
お前がいるから。
流れる雲は気持ちが良さそうで、俺も一緒に連れて行って欲しかった。
そしたら他の世界が見れるような気がして。
でもそんなこと、今の世の中では不可能なこと。俺はそんな世の中を不満に思いながら、学ランの制服に袖を通した。
今日はうるさい兄貴の慶汰が起きてきていない。昨日、飲みに行ったのか、泥酔状態でありさが支えて帰ってきた。
慶汰は酒を飲むとすぐ寝てしまう癖があるため、なかなか起きないだろう。
今日会社が休みみたいだから、ずっと寝ているさ。
自分の世話が出来ない人間に自分の世話をして欲しくない。


