どこまでも、蒼く



お前が撮る写真の中の人物は必ずあるもので統一されていた。


それを知るのはまだまだ先─…。


一ページずつ捲っていくと、必ず写真の世界へと吸い込まれるような気がした。

まさか、と思って、もう一枚捲ると、やはりその世界に吸い込まれる。
この写真を撮った人はすごい力の持ち主だと思う。

そして最後のページには、ある言葉が載っていた。


《人生とは人のために生きるものである》


どうしてかな?
この言葉を見た瞬間、何かが込み上げてきて、苦しくなったんだ。


人のために生きるから人生。
この言葉を俺は黙って心に刻み込んだ。


『ありがと…』


俺は陽菜に写真集を渡した。
陽菜は隣でこの写真集を作った写真家の坂井雅のことについて語っている。

この人に憧れて写真を始めた、とか。
いつか写真家になりたい、だとか。


俺は煌めくグラウンドを見ながら、その話を黙って聞いていた。