ありさは俺を見るとにこりと笑った顔を見せた。モデルの仕事で鍛えたような笑顔。
俺はカメラマンじゃないよ?
だからそんな作った顔、見せなくていいから。
『嵐くん、ご飯作ったの。食べてね』
ラップに包まれた料理を指差しながらありさは言う。
ありさが作った料理は唐揚げのようだ。
唐揚げは好きな方に入るけど、ありさが作ったのは食べる気がしない。
だって慶汰のために作ったんだろ?
そんなの、尚更だ。
慶汰はありさの隣に座り、食後の一時を過ごしている。
ぽつんと残された俺。
ほら、やっぱり俺は一人じゃねぇかよ。
俺の存在って一体なんですか?
肩が並ぶ二人の後ろ姿に投げかけた言葉。
その言葉は聞こえていないに決まっているよな。
だって、今も俺の存在を無視してるだろ?
嫌だ。
嫌過ぎる。
苦しい。
苦しすぎる。


