どこまでも、蒼く



俺は握っていたドアノブをゆっくり外し、自分のポケットにある携帯を取り出した。

この音は電話の着信音。電話をかけてきているヤツに怒りを覚える。
サブ画面を見ると、そこに写し出された文字は、二文字だ。

《千夏》


『千夏かよ…最悪…』


『何してんだよ?飯食った?今ありさが来てるんだ』


『ふーん、だから?』


突然鳴りだした携帯は、突然鳴るのをやめる。
静かな空気が俺達を取り巻いていた。

慶汰が言う《ありさ》という人物は慶汰の彼女だ。
もう付き合って4年になる。
ありさもモデルの仕事を今も尚している。
出会ったきっかけは、仕事で一緒になったのがきっかけだ。

二人はとても仲がよく、結婚を前提に付き合っている、と前に聞いてもいないのに慶汰から聞かされた覚えがある。


引きつる顔。
ありさになんか会いたくねぇよ。