どこまでも、蒼く



『遊ばねぇよ。お前らなんかと誰が遊ぶか』


この言葉を聞いた二人は愚痴を零しながら俺たちの前から去っていった。二人がいた場所からは、ほんのりと香水の匂いが残っていた。
そしてもう一つ、残ったものがある。
それは俺の心に残った傷だ。

大きさはそこまで大きくはない。
小さな傷なのだが、その小さな傷が増えていくとそのうち大きな傷になる。

今ではもう大きな傷になっているだろう。


そして思い出される過去。
それは…、中学生の頃。慶汰がモデルで活躍していた頃だ。
ある女生徒に言われた一言。



『佐伯くんのお兄ちゃんってモデルの慶汰でしょ?私慶汰好きなんだよね!会わせてよ!』


この一言だった。
癪に障る言葉だった。
俺は腹が立ち、その女生徒を眼つけて、汚い言葉を浴びせた覚えがある。

それから、俺は慶汰の存在を拒否ってきた。


どこかで…
いなくなればいいと思っていたんだ。