どうしてそんなことを言うの?
どうして俺を見ないの?
慶汰が雑誌に出だした頃から疑問に思っていた。慶汰に似ているから俺に声をかけてくる人が増えてきたのだ。
結局、俺は慶汰を超えれないということ。
いつも負けてばっかり。
どうして…
だから嫌になるんだ。
何もかも。
未だに慶汰のことは好いていない。
別に嫌いなわけでもない。
だが、慶汰のせいで俺の生活は不自由になっているのは確かだ。
イライラが募っていく。眉間に皺を寄せて、ぎゅっと目を瞑った。
『慶汰って誰だっけ?』
『ほら!今は見なくなっちゃったけど、よく雑誌に載ってたモデルだよ!まじかっこよかったじゃん!』
隣では俺の心情を無視して、女たちは会話に華を咲かせている。
我慢出来なくなった俺は眉間に皺を寄せたまま、二人の女を見上げた。
俺の視線に気がついた二人は、一歩後退りをし、口を開くのをやめた。


