ファーストフード店の中に入ると同時に、店員の元気のよい声が聞こえてくる。
マニュアル通りの掛け声だ。
変わらない掛け声に少しだけ嫌気を感じた。
店内は、学校帰りの学生たちで賑わっていた。
俺たちは4人掛けのテーブル席に座り、すばるは一目散に注文をしに行った。
『嵐はなんかいるか?』
馨が俺を見下ろし、尋ねてくる。
『いらねぇ。なんか食う気しねぇから』
馨の親切を突き放す。
お腹が減ってないのも理由のひとつだが、今はそんな気分じゃなかった。
やっぱり、さっきの女が原因みたいだ。
馨はすばるに続いて、財布だけを持ち、注文しに向かった。
『…なんか、イラつく』
頬杖をつき、必死に苛立ちを抑えようとするが、なかなか出来ない俺。
そんな俺にもイライラする。
この時間は店が混むせいか、次々に人が入ってくる。
たちまち人口密度が高くなる。


