謝っても、《ごめんね》が切なく、行き場のない言葉に変わるだろう。
じゃあなんて言えばいいの?
やはり…あの言葉…?
『嵐…陽菜…なんて言ったらいいか分からない…。頭の中が混乱してて…』
震える体。
泣いているの?
抱きしめたいよ…
抱きしめることの出来る腕はあるのに…
あるのに…出来ない…。
『…ゆっくり考えてよ…。来週の金曜日に答え聞くから…』
来週の金曜日。
それは始業式。
それと、慶汰が名古屋に引っ越しをする日。
聞いてしまったんだ。
慶汰が誰かと電話で話す会話を。
来週の金曜日に、ここを出ていくと言った。
陽菜が答えを出すには丁度いい日だと思ったから…。
俺は持ってきた写真集と胡蝶蘭を床の上に置く。
白い、可愛い花。
この花は俺にとって特別な花になったんだ…。


