本当は怖かった。
歩く度、進む度、怖さが増していく感じだ。
お前の中に俺は存在しているだろうか?
そんなことばかり考えながら、陽菜の家を目指す。
陽菜が住むマンションは、洋風の可愛らしいマンションだ。
あまり高くはなく、目立ちたがり屋ではないよう。
そんなマンションが陽菜には似合っていた。
エレベーターで陽菜の部屋がある4階を目指す。もう行き慣れたようなものだ。
胡蝶蘭の花が嬉しそうに揺れる、揺れる。
今どんな気持ちなの?
楽しそうだね。
その気持ち分けてくれないか?
震える手でインターホンを押す。
陽菜はいるだろうか?
もし、昨日あんなことがなかったら、俺たちは今頃笑っていたかな?
今日の朝、陽菜に《今から行く》とメールをしたけど返事はなかった。
読んでくれたかな?
少しして、奥の方から足音が聞こえてくる。
そして鍵が開き、中からある人が出てきた。


