今日は年に一度のクリスマス。
けど俺たちはそんな陽気なイベントに参加をしていなかった。
『…引っ越す…?』
『だからあの子を支えるのはお前だ。今まで苦労かけたな。俺が邪魔だっただろ?これからは羽を伸ばしていいから…』
胸ぐらを掴む手が弱まっていく。
また脱力感が俺を襲うのだ。
次々襲いかかる問題。
年明けに慶汰がいなくなる。
この前名古屋に出張に行った理由は、引っ越すための下見だったらしい。慶汰は名古屋に自分の店を開くみたいだ。
慶汰が俺の頭にぽんっと手を置く。
大きくて綺麗な手からは優しさが溢れていた。
『受験、頑張れよ…』
こう言って、慶汰はリビングから出て行った。
一人になる俺。
ふと、窓から外を見ると、柔らかな、雪がひらひらと落ちてきていた。
…ホワイトクリスマス…


