二人でソファーに座って肩を並べたのはいつぶりだろう?
もうずっと座っていない気がする。
気持ちを整える俺。
でも涙は零れる。
『嵐、…あの子は彼女か?』
《あの子》という言葉に恐怖を覚える。
けどなんで俺はこんなことを言ったのだろうか?
まるで、慶汰の幸せを願うかのような…。
『彼女じゃないよ…』
きっと俺は自分の幸せを願う言葉じゃなくて、違う人が幸せになるように言葉を選んでいたのかもしれない。
陽菜は俺の彼女なのに、慶汰に嘘を言った俺。
もしこれを聞いていた陽菜はなんて言うだろうか?
最低だ、最低だよ。
でも陽菜の涙が脳裏に浮かんでいるんだ。
涙を流すくらい、慶汰に逢えて嬉しかったのだろうか…。
『…嘘つくなよ…』
『嘘じゃ…ねぇよ。
なぁ…慶汰と陽菜はどういう関係なんだよ…』


