どこまでも、蒼く



再び涙が加速して流れる。
誰かに泣いている姿を見られるのは好きじゃないけど、もうどうでも良かった。



『なんで……』



ようやく出た言葉。
それはずっと頭の中にあった言葉だった。



『理由は…リビングで話すから…、立てるか?』


腕を慶汰に掴まれる。
ふりほどく力さえない。俺は慶汰の温もりに触れる。



陽菜となに話したの?
陽菜とどういう関係なの?

陽菜のこと好きなの?



聞きたいことが沢山ある。
けど聞けない。
涙だけが溢れる。
そして零れる。


手には陽菜が持ってきた手作りクッキー。


それだけ大事に抱えて…慶汰の支えでリビングに向かう。


明るい部屋。
まだ零したお茶が残っている。
水たまりのように。


俺の涙のようだった…。


慶汰はうるさかったテレビを切って、俺の隣に座る。


ソファーが狭く感じた。