静かすぎる空間。
いつもなら広すぎる部屋なのに今日は狭く感じた。
『な…んで…』
涙で歪む視界。
追いかけるのは俺なのに…なぜ慶汰が追いかけるんだよ…。
その姿が誰かに似ていた。
それは…、俺の姿だった。
愛しく思う表情がとても似ていた─…。
痛いよ、苦しくて。
悲しいよ、儚くて。
嘘だって言ってよ。
そしたら簡単に騙されるから。
静寂が余計悲しさを誘う。
崩れ落ちる体。
脱力感のせいだ。
立っていることさえ出来ないでいた…。
…どれだけ時間が経ったのか分からなかった。
時計なんてないし…、時間が過ぎたと分かるのは、冷たかった床が少しだけ温かくなってきたということだけ。
その時、玄関のドアが開いた。
『嵐…』
びくりと反応をする体。その声は…慶汰だ。


