今、目の前に広がる光景はなに?
誰か答えてよ…。
そこにあったのは、慶汰の姿と…お前の姿だった。
言葉なんかなくて、ただ時が止まっているかのようにも思えた。
陽菜…。
陽菜は口に手を当てて、持っていた袋を落とした。
近づいていく俺。
頭の中が真っ白になっていく。
『陽菜…どうして…』
俺はこの時気付いてしまったんだ…。
あんな表情を見たら、知りたくなくても知ってしまう。
陽菜は…、瞳から大粒の涙を流した─…。
感動に耐えられなくなったのだろうか。
硬直する体。
怖かった…。
紘人の言葉がよぎる。
《憧れが好きに変わるかもしれない》
なにも言えなかった…。
助けて─…。
お願いだから…。
好きにならないで…。
願っても、こんな願いはサンタクロースには叶えられないだろ?


