─…ピーンポーン。
聞き飽きるくらい聞いてきた音に耳を傾ける俺たち。
こんな時間に誰だよ?
もしかしてサンタクロース?
なんてね。
慶汰の言葉に衝撃を受ける。
あの子を捜している?
それは誰─…?
ゆっくりと下へと落ちていくグラス。
割れはしなかったけど、俺の下にはお茶が零れていた。
俺が落としたのだ。
もう…力が入らなくて。
『誰か来たみたいだな。俺が出るわ。嵐、拭いとけよ』
慶汰は俺にこう言って、布巾を投げる。
それを受け取って、床に広がったお茶を拭いていく。
客は誰だろう?
もしかしてありさかもしれない。
そんなことを思いながら床を拭いていく。
けどこんな薄い一枚の布巾じゃ拭いても拭いても意味がない。
立ち上がり、洗面所に雑巾を取りに行こうとして立ち上がる。
そして…リビングを出る。
俺は信じられなかった。
崩れ落ちていった…。


